ユリズイセン(百合水仙)の育て方

ユリズイセン(百合水仙)の基本情報

科名:ユリズイセン科(アルストロメリア科)
   Alstroemeriaceae
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属名:ユリズイセン属(アルストロメリア属)
   Alstroemeria
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学名:Alstroemeria pulchella
   Alstroemeria psittacina
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和名:ユリズイセン(百合水仙)
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別名:インカノユリ(インカの百合)
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英名:Peruvian lily
   Lily of the Incas
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原産:南アメリカ
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開花時期:5月~7月
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高さ:50㎝~1m
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耐暑性:やや弱い
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耐寒性:やや弱い
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ユリズイセン(百合水仙)の特徴

ユリズイセン(百合水仙)はブラジル・アルゼンチン原産の多年草で、アルストロメリアの一種です。

現在多く見られる園芸種のアルストロメリアと比べると花が細く、花色は赤く花弁先に向かって白~グリーンで、花弁内側に独特な斑点模様が入ります。

他のアルストロメリアと同じく根は白く細い芋のような根茎が束になっていて、根茎から細めの茎を立ち上げ、草丈は50㎝~1mの高さになり、5月~7月に開花します。

アルストロメリアの仲間は高温多湿が苦手で日本で栽培する場合は夏場に枯れることがありますが、温暖な地域で排水が良いと多年草として残りやすく、特に草丈が高いユリズイセンは地面が多湿・高温になりにくい草むらなどで簡単に増えます。

そのためユリズイセンは日本を始めアメリカ・オーストラリアでも帰化しており、温暖地域では自然環境に逸出しないように栽培する必要があります。

ユリズイセンの名は原種アルストロメリア・プルケラ(Alstroemeria pulchella)の和名ですが、アルストロメリア・プルケラはアルストロメリア・ぺレグリナ(Alstroemeria pelegrina)やアルストロメリア・プシッタキナ(Alstroemeria psittacina)のシノニム(Synonym=異名)です。

なお栽培種も含めたアルストロメリアの育て方については下記リンク先を参照してください。

ユリズイセン(百合水仙)の管理と置き場所

ユリズイセンは陽当たり・風通し・排水性の良い環境で育てます。

また高温多湿と凍結を嫌うため、地域や自宅の環境によって鉢植えで管理をした方が良い場合と環境を整えて地植えできる場合があります。

鉢植え

どの地域でも鉢植えであれば育てることができます。春と秋は直射日光があたる場所で育て、夏場は明るい日陰か朝日だけがあたるような場所に置きます。冬場は凍らない場所へ移動させます。

後ほど水やりの項目でも説明しますが、夏場と冬場は水やりを控えることで根腐れし難くなります。

地植え

暖地や温暖地などの地表近辺のみ凍るような地域であれば、冬場にウッドチップや腐葉土などでマルチングを行うことで越冬できます。

一方で夏の高温と多雨で枯れやすいため、斜面や土を盛った場所など排水の良い場所に植えるか、土質を排水良く作り替えて植えた方が良いです。

また夏の高温でも枯れやすいため、アルストロメリアの周囲に草花を多く植えることで地温の上昇を抑え、夏の高温でも枯れにくくなります。

ユリズイセン(百合水仙)の年間管理表
 
ユリズイセン(百合水仙)の植え替え

植え替え時期は春(3月~4月上旬)と秋(9月中旬~10月上旬)に行い、2年~3年に1回の頻度で植え替えや株分けを行います。

ユリズイセンを始めアルストロメリア属は球根植物として扱われることがありますが、チューリップのような丸い玉状の根塊はなく、白く多汁質のやや太めの根が先端で束になった作りになっています。新芽は束が纏まっている側から伸び始めます。

どのような植え方の場合でも新芽が伸びる部分は地中深くに埋まらないよう地表から2~3㎝くらいの深さに留めます。

裸の球根を植える場合

鉢または植える場所に穴を掘り、白い根の部分を広げるように置いてから土を被せます。土を被せる際は白い根が繋がっている部分が地表から2~3㎝くらいの深さにします。

苗・開花株を植える場合

極度に根詰まりしている場合を除き、根鉢を崩さず一~二回り大きな鉢または花壇などに定植します。

育てている株の植え替え

鉢植えや地植えの株を掘り上げるなどの土を崩す植え替えは、休眠中かつ生育が始まる少し前が理想です。

上記の通り春と秋に行いますが、具体的には春は寒さが落ち着き春の新芽が動く前で、秋は暑さが落ち着き秋の新芽が出る前です。

根鉢を取り出し太い根を切らないように土を崩し、新しい鉢へと植え替えます。

植え替えの際は裸の球根を植える場合と同じく根を広げながら植え替えます。また植え替えの際は一気に土を足さず、根と根の間に土が入るようにします。

ユリズイセン(百合水仙)の用土の選び方
鉢植え

根が太く多湿では根腐れしやすいため、保水性・排水性に加え通気性もある用土に植え替えます。

混合する場合は、赤玉土小粒:鹿沼土小粒:腐葉土を等量混合で用土を作ります。

また排水良く作られていることが多い観葉植物用の土で育つこともあります。

一方市販の花や野菜用の土はアルストロメリアにとっては過湿になりやすいため避けた方が良いです。

地植え

排水性を良くするために完熟の牛糞堆肥や馬糞堆肥、腐葉土、完熟有機肥料などを植えこむ周囲に混ぜてから植え付けます。

また粘土質の土壌は嫌うため、植える場所が粘土質の場合は堆肥類以外にもパーライト、軽石小粒、川砂などを混ぜ込み土質を作り変えます。

ユリズイセン(百合水仙)の水やり
鉢植え

新芽がでる春または春・秋の生育期は水枯れしないように鉢土の表面が乾いたら鉢下から水が出てくるまでたっぷりと与えます。

夏~冬または夏・冬は、葉がある状態ならば鉢土の表面が乾いて5~7日後くらいに水を与えるような乾かし気味の管理をします。葉がない場合は断水して休眠させます。

地植え

基本的に水やりをする必要はありません。

ユリズイセン(百合水仙)の肥料の与え方

ユリズイセンは原種のアルストロメリアで、あまり肥料を必要としません。

肥料が切れやすい鉢栽培の場合のみ、春の新芽が出始めるころに緩効性の化成肥料か有機肥料を1回与えます。

ユリズイセン(百合水仙)の手入れ
花後の手入れ

開花が終わった花茎などが黄色に変色するか枯れ始めたら花茎を抜き取ります。

多年草として寿命が長いため、ウイルス病を感染させないためハサミなどは使わずに手で抜き取ります。

抜き取り方は、片手で花茎周面の土を押さえ、もう一方の出て引き抜くと簡単に抜き取ることができます。

ユリズイセン(百合水仙)の増やし方

ユリズイセンは株分けで増やします。

株分け

株分け時期は植え替えと同じく春(3月~4月上旬)と秋(9月中旬~10月上旬)に行います。

アルストロメリアの根は白くやや太めの根が先端で束になった作りになっています。

束が纏まっている側に新芽があり、太い根の部分だけでは芽がでません。

株分けの際には芽と根がセットになるように分けます。

分けた株は植え付けで説明した裸の球根の植え方と同じく、新しい鉢または新しく植える場所に穴を掘り、白い根の部分を広げるように置いてから土を被せます。

土を被せる際は芽の部分が地表から2~3㎝くらいの深さにします。

ユリズイセン(百合水仙)の病害虫

害虫として「アブラムシ」、病気として「灰色かび病」など発生することがあります。

害虫

「アブラムシ」は春先に新芽・蕾周辺・花裏・葉裏などに発生します。

陽当たりや風通しが悪い場所やで発生量が増えることがあるので、育てている環境の改善も行うと良いです。

病気

「灰色かび病」は終わった花柄や枯れた葉に発生します。主に梅雨時期など過湿期に発生しやすく、灰色~灰褐色のカビが伝播していくため、花柄や枯れ葉は早めに除去します。

退治・治療方法

「アブラムシ」「灰色かび病」が発生した場合では、市販の薬剤またはスプレー剤で「花き」の登録と対象病害虫の記載があるものを使っていけば退治できます。

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