ハマナデシコ(浜撫子)/フジナデシコ(藤撫子)の育て方

ハマナデシコ(浜撫子)/フジナデシコ(藤撫子)の基本情報

科名:ナデシコ科 Caryophyllaceae
————————
属名:ナデシコ属(ダイアンサス属)
   Dianthus
————————
学名:Dianthus japonicus
————————
和名:ハマナデシコ(浜撫子)
————————
別名:フジナデシコ(藤撫子)
   ベニナデシコ(紅撫子)
————————
英名:Seashore pink
————————
原産:日本(本州太平洋側・四国・九州・沖縄の沿岸地域)・朝鮮半島・中国
————————
開花時期:7月~10月
————————
高さ:15㎝~50㎝
————————
耐暑性:強い
————————
耐寒性:やや強い
————————

ハマナデシコ(浜撫子)/フジナデシコ(藤撫子)の特徴

ハマナデシコ(フジナデシコ)は日本・朝鮮半島・中国原産のナデシコの仲間(ダイアンサス属)で、日本では本州太平洋側(一部大西洋側を含む)・四国・九州・沖縄の沿岸地域に自生している在来種です。

夏(または初夏)から秋にかけて小ぶりでピンク~濃ピンクの花を密に咲かせ、沿岸の植物に多いツヤのある濃グリーンの葉が特徴的です。

沿岸の森林と海までの間の草地などが自生地で、岩地の隙間の土があるところや草丈が低い植物が茂る岩礫地など排水の良い環境に自生しています。

標準和名は「ハマナデシコ(浜撫子)」ですが、「フジナデシコ(藤撫子)」や「ベニナデシコ(紅撫子)」という別名もあり山野草として楽しまれるほか、藤色のようなソフトピンクの花を咲かせる「ふじなでしこ・サマーラベンダー(品種名:カニエ)」などの栽培種も作られ、鉢花・切花としても流通します。

やや短命ながらも多年生で経年株の根元は徐々に木質化し、植え付けてから数年間は株が大きく育ちながら毎年花を楽しむことができます。

ハマナデシコ(浜撫子)/フジナデシコ(藤撫子)の管理と置き場所

ハマナデシコ(フジナデシコ)は陽当たり・風通し・排水性の良い環境で育てます。

特に自生環境が沿岸地域の比較的乾きやすい環境のため排水の悪い土質は苦手ですが、環境が整っていれば鉢植え・地植えどちらでも簡単に栽培できます。

在来種のため暑さ・寒さもある程度耐性があり、本来の自生地周辺地域は問題なく生育します。

ただし沿岸地域に自生しているため、その他の地域の長期間の積雪や強い霜からは守った方が良いです。

また本来は多年草ですが、老化した経年株は花付きが悪くなるので、適宜種まきか挿し木で株を更新しながら育てます。

ハマナデシコ(浜撫子)/フジナデシコ(藤撫子)の年間管理表
 
ハマナデシコ(浜撫子)/フジナデシコ(藤撫子)の植え替え

苗を入手後になるべく早く地植えまたは一回り大きな鉢か複数株をまとめて大きな鉢に植え替えを行います。

多年草として育てている鉢植え株の植え替えは、早春(2月末~3月)に行います。

ハマナデシコを含むナデシコの仲間は細かな根が密に張るので、鉢栽培の株は基本的に毎年1回は植え替えます。

植え替えの際は根鉢表面の細かな根を解して軽く土を落として植え替えます。

地植え株の場合は植え替えの必要はありませんが、株が大きくなって植栽のバランスが崩れる場合は数年に1回掘り上げて株分けを行うと良いです。

ハマナデシコ(浜撫子)/フジナデシコ(藤撫子)の用土の選び方
地植え

苦土石灰を混入して中和し、1~2週間後に排水性を良くするために完熟の牛糞堆肥や馬糞堆肥、腐葉土、完熟有機肥料などを植えこむ周囲に混ぜてから植え付けます。

また粘土質の場合は、堆肥類以外に軽石小粒や川砂などを2割程度まぜて通水性を改善すると良いです。

また植え付け周囲を盛り土するか、レイズドベッドと呼ばれる土を一段盛り上げた花壇を作ると過湿になりにくく良く育ちます。

鉢植え

山野草の土で植え付けるか、市販の花用の培養土の場合は赤玉土小粒・軽石小粒をそれぞれ1割ずつ混ぜて植え替えます。

混合する場合は、赤玉土小粒:軽石小粒:腐葉土を等量混合で用土を作ります。

ハマナデシコ(浜撫子)/フジナデシコ(藤撫子)の水やり
地植え

植え付けた後にたっぷりと水を与えた後は基本的に天候任せで水やりをする必要はありません。

ただし夏場で晴天が続くようであれば、表土の乾きを確認しつつ夕方にたっぷりと水を与えます。

鉢植え

春~晩秋までは表土が乾いたら鉢下から水が出てくるまでたっぷりと与えます。

夏・冬も表土が乾いてから水を与えますが、生育が止まって吸水量が減っているため過湿になりやすいので水の与え過ぎに注意します。

鉢植えの場合は、梅雨時期の連続する降雨で根腐れしやすくなるため、南向きの明るい屋根下などに移動し土の多湿を避けた方が良いです。

ハマナデシコ(浜撫子)/フジナデシコ(藤撫子)の肥料の与え方
地植え

土質改良のための堆肥類とともに完熟の有機肥料または根を傷めにくい緩効性の化成肥料を混ぜてから植え付けます。

追肥は与えなくても良く育ち開花します。

鉢植え

植え付ける際は、元肥として根を傷めにくい緩効性の化成肥料を土に混ぜて植え付けます。

鉢栽培は肥料が切れやすいため、5月~11月に追肥として2ヵ月に1回の頻度で緩効性の化成肥料を株元から離した株の周囲に与えるか、液体肥料を月に1回の頻度で薄めて与えます。

ハマナデシコ(浜撫子)/フジナデシコ(藤撫子)の手入れ

ハマナデシコ(フジナデシコ)の主な手入れは「花摘み」「切り戻し」などがあります。

花摘み

花が咲き終わると、花柄で見た目が悪くなるだけでなく、湿度の高い時期は灰色かび病の発生源になるため適宜取り除きます。

また種を付けさせないように花の付け根から摘み取ることで、次の花が咲きやすくなります。

切り戻し

花がある程度咲き終わったら、草丈の半分程度で切り戻しを行うことで新しい芽が出て花を咲かせます。

ただし葉が株元に残らないような切り方をすると枝が枯れ混むことがあるので、株元に葉が少ない場合は切り戻す高さを調整して葉が残るようにします。

ハマナデシコ(浜撫子)/フジナデシコ(藤撫子)の増やし方

ハマナデシコ(フジナデシコ)は株分け・挿し芽・種まきで増やします。

株分け

株分け時期は2月末~3月に行います。

鉢植えであれば根鉢を取り出し、地植えであれば掘り上げて、株の中心を境に、各株に根が付くように分割します。

挿し芽

ハマナデシコ(フジナデシコ)の挿し芽の時期は5月末~6月に行い、新芽あたりを使って挿し芽します。

新芽先端から3~5㎝を切り取り、挿し穂の下側1/3の葉を取ってから水に漬けて給水させます。なお親株に前日たっぷりと水を与えておくとより効果的です。

育苗トレーや鉢などに湿らせた挿し芽用の土やバーミキュライトなどの清潔な用土を入れ、挿し穂の1/3が埋まるように土に挿します。

なお挿し穂に発根促進剤を付けたり、活力剤を水に加えることで発根率が上がります。

種まき

ハマナデシコの種まきは前年採種したものか「サマーラベンダー」のように「フジナデシコ」として販売されている種を使って種まきできます。

撒き時期:暖地・温暖地であれば春まき(3月~4月上旬)・秋まき(9月中旬~10月)でき、それぞれ種まきの翌年7月あたりから開花します。

撒き方:育苗トレーに種まき培土を入れて十分湿らせ種が重ならないようにバラ撒きして5㎜程度軽く覆土します。

発芽後から移植できる大きさに育つまで適宜間引きをしながら育て、本葉数枚育ったころにポットに移植するか花壇に植え付けます。

ハマナデシコ(浜撫子)/フジナデシコ(藤撫子)の病害虫

ハマナデシコ(フジナデシコ)は害虫として「アブラムシ」、病気として「灰色かび病」「さび病」など発生することがあります。

害虫

「アブラムシ」は春先に新芽・蕾周辺・花裏・葉裏などに発生します。

陽当たりや風通しが悪い場所やで発生量が増えることがあるので、育てている環境の改善も行うと良いです。

病気

「灰色かび病」
終わった花柄や枯れた葉に発生します。主に梅雨時期など過湿期に発生しやすく、灰色~灰褐色のカビが伝播していくため、花柄や枯れ葉は早めに除去します。

「さび病」
葉に白~黄褐色の斑点が生じ、病斑が増えると葉の変形などの書状が現れ、生育も悪化します。

主に梅雨~夏場にかけて発生しやすく土の過湿や風通しが悪い環境で発生しやすくなります。

退治・治療方法

「アブラムシ」「灰色かび病」「さび病」が発生した場合では、市販の薬剤またはスプレー剤で「花き」の登録と対象病害虫の記載があるものを使っていけば退治できます。

シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

フォローする