オリヅルラン(折鶴蘭)の育て方

 オリヅルラン(折鶴蘭)の基本情報

科名:キジカクシ科 Asparagaceae
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属名:オリヅルラン属(クロロフィツム属)Chlorophytum
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学名:Chlorophytum comosum
あるいは Chlorophytum
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和名:オリヅルラン(折鶴蘭)
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英名:Spider plant, Spider ivy, Ribbon plant
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原産:熱帯アフリカ~南アフリカ
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株幅:~30㎝
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耐暑性:強い
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耐寒性:やや弱い
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 オリヅルラン(折鶴蘭)の特徴

オリヅルラン(折鶴蘭)は室内の明るさでも良く育ち、比較的コンパクトな株姿、渇きに強い性質、容易に増やせるなどの特徴もあり育てやすい観葉植物の一つです。

ランナー(匍匐茎)と呼ばれる茎を伸ばし、先に吊り下がるようにできる子株が「折り鶴」のようであることから「オリヅルラン(折鶴蘭)」という和名になっています。蘭という名が入っていますが、蘭の仲間(ラン科の植物)ではありません。

オリヅルランと呼ぶ植物はクロロフィツム・コモスム(Chlorophytum comosum)をさし、基本種は緑葉ですが、店頭では斑が入って葉色が華やかなソトフオリヅルラン(外斑折鶴蘭=C. comosum ‘Variegatum’)やナカフオリヅルラン(中斑折鶴蘭=C. comosum ‘Vittatum’)、葉が柔らかいナカフヒロハオリヅルラン(中斑広葉折鶴蘭=C. comosum ‘Picturatum’)などを多く見かけます。

その他にも近縁種のシャムオリヅルラン(Chlorophytum laxum ‘Bichetii’)などがあります。

 オリヅルラン(折鶴蘭)の空気清浄効果

NASAの宇宙ステーション内の空気清浄化を研究する部署が、光合成による炭素同化と酸素放出などの機能の他に屋内の有害物質の除去に役立つ植物候補を発表しています。

オリヅルランはそれらの植物の中でホルムアルデヒドやキシレン・トルエンなどの除去に有効という報告があります。

また犬・猫への毒性もないため、オリヅルランには観賞以外にも空気清浄効果のある室内植物としての魅力もあります。

 オリヅルラン(折鶴蘭)管理・置き場所

オリヅルランは明るい日陰と風通しの良い場所を好みます。また根が太めで渇きに強いものの、土の過湿で根腐れしやすくなります。

品種によって葉質が固いものと柔らかいものがあり、葉質が固いものであれば暖地や温暖地の場合、樹の下や軒下など雪・霜に直接当たらない屋外で育てることができます。寒冷地などではどの品種でも冬場は室内に取り込みます。

理想の管理は春から秋まで屋外管理し、冬期(最低気温が8℃~10℃)は室内に取り込む管理が良いですが、居住環境により同じ育て方ができないことがあるので「通年室内管理」「通年屋外管理」「屋外(戸建て)」「屋外管理(ベランダ)」に分けて説明します。

通年室内管理
通年室内管理する場合は極力明るさを確保することが重要になります。また乾燥した風にさらされ続けることを嫌うので、エアコンからの直接風が当たらない場所にします。

室内に陽が入る秋から春までの時期は、南側の窓辺のような窓越しの直射光が入る場所のレースのカーテン越しのような明るさが良いです。

室内の明るさは、陽が高くなる夏場に暗くなる傾向があります。夏場は朝日から数時間陽が当たるような東向きの窓辺などに置くと良いです。夏場でも朝日であれば葉焼けは起きにくいですが、陽が高くなり日差しが強くなると葉焼けが起きるので、レースのカーテン越しや遮光をした方が良いです。

通年室外管理
上記の通り葉質が固い品種で、関東以西の温暖地や暖地の場合、通年室外管理が可能です。

鉢植えの場合は移動ができますが、地植えの場合は年間通して日差しと雪・霜から守れる常緑樹の下などに植えます。

また暖地や一部温暖地の場合は、雪や霜で葉が枯れても地表から地下部分が越冬して翌春から芽吹くこともあります。

屋外管理(戸建て)
暖かくなる4月~5月から屋外に出せます。暖地では3月末から屋外に出すこともできます。

過湿は嫌うものの生育期は連日の雨でも根腐れしにくいため、屋外での置き場所は雨ざらしの場所で管理できます。ただし明るい日陰が良いので、落葉樹の下または比較的木陰が明るい常緑樹の下などが良いです。

直射日光が当たらない明るい軒下で育てることもできます。ただしこの場合は乾燥によるハダニの発生も考えられるので、株全体に水をかけることが重要です。

気温が下がる10月~11月あたりから室内に取り込みます。以降は通年室内管理と同じく室内の明るい場所で越冬させます。

屋外管理(ベランダ)
暖かくなる4月~5月から屋外に出せます。暖地では3月末から屋外に出すこともできます。

ベランダの東西南北の向きで明るさに違いがでるため、北側ベランダだけは南向きの別の屋外に置いた方が良いです。

またベランダの外側の仕切りが柵かコンクリートの壁かによって、明るさと風通しも変わります。コンクリートの壁の場合は鉢下に台を置いて高さを出すことによって、風通しと明るさを改善できます。

南向きのベランダの場合、真夏はほぼ直射日光が当たりませんが、春と秋はベランダ内に光が入り葉焼けが起きることがあります。ベランダ内の置き場所や他の植物との配置を工夫して日陰を作るか遮光ネットで光を弱めた方が良いです。

西向きベランダは、夏の夜間の温度が高くなるため陽が落ちたあたりで打ち水をすると温度を下げることができ植物が弱りにくくなります。

ベランダは概ね雨は当たらないため、乾燥によるハダニの発生も考えられるので株全体に水をかけることが重要です。

気温が下がる10月~11月あたりから室内に取り込みます。以降は通年室内管理と同じく室内の明るい場所で越冬させます。

 オリヅルラン(折鶴蘭)年間管理表
 オリヅルラン(折鶴蘭)植え替え

植え替えは5月~9月(暖かい地域では4月から)に行います。また生育旺盛で根も太く、根詰まりしやすいため1~2年に1回は植え替えた方が良いです。

鉢から根鉢を抜き取り土を1/3~半分ほど落として、一回り大きな鉢に植え替えるか、株分けして植え替えます。

数年経った株では根詰まりしており、太い根が絡んで土を崩せなくなることがあります。根鉢を倒した状態で床など下に置き、体重をのせながら根鉢の横をゆっくり手で押します。根鉢の押す場所を変えながら、根同士の絡みを解いていきます。ある程度解れたところで土を崩し、傷んだ根を手入れした上で植え替えます。

 オリヅルラン(折鶴蘭)用土の選び方

市販の観葉植物用の土などで植え替えます。またブレンドする場合は赤玉土小粒:腐葉土:軽石小粒=5:3:2の土に植え替えもできます。

ハンギングポットで吊り鉢仕立てにする場合は、重量を減らすためにベラボンなど植え込み用のヤシ繊維を使うと良いです。置き鉢でヤシ繊維素材の植え込み材で植え替えもできますが、土の重量が少ないためプラスチック鉢などでは株が大きくなると転倒しやすくなります。

 オリヅルラン(折鶴蘭)水やり

オリヅルランは比較的渇きに強いですが、春から秋の生育期は水を良く吸うため鉢土の表面が乾いたら鉢下から水がでるまでたっぷりと水を与えます。

冬期は水やり頻度を減らし、鉢内まで乾くように表土が乾いて3日~7日後に水を与えるか、鉢を持って軽くなってから水を与えるようにします。

各管理場所での注意点を以下に説明します。

通年室内管理
一般的には季節に応じて気温が変わるため、上記の通り季節ごとに水やりの頻度が変わりますが、室内管理の場合は住居の気密性と空調の性能により季節とは異なる水管理になることがあります。

室内は風通りがなく乾きにくいため、鉢内まで乾くように年間通して鉢土の表面が乾いて数日~1週間後に水を与えるか、鉢を持って軽くなったら水を与えます。

また空調などもあり室内の空気は乾きやすいため、年間通して葉水を与えた方が良いです。暖かい時期であれば一時的に屋外に出して全体に水をかけ、寒い時期であれば屋内管理のまま霧吹きなどで株全体を濡らすと良いです。

通年室外管理
地植えにしている株は基本的に水やりの必要はありません。

鉢植えの場合は上記の通り、春から秋の生育期は水を良く吸うため鉢土の表面が乾いたら鉢下から水がでるまでたっぷりと水を与えます。また生育期は水が多くても根腐れしにくいため、雨ざらしの場所に置くこともできます。

冬期は軒下などに移動し水やり頻度を減らし、鉢内まで乾くように表土が乾いて1~2週間後に水を与えるか、鉢を持って軽くなってから水を与えるようにします。

通年軒下で管理する場合は、特に乾燥する夏場はハダニなどの害虫を防ぐためにも株全体を濡らすように水を与えます。

屋外管理(戸建て)
暖かくなり屋外に出してからは、鉢土の表面が乾いたら鉢下から水がでるくらいにたっぷりと水を与えます。

軒下に置いている場合は雨があたらないため、高温期はほぼ毎日株全体を濡らすように水を与えます。

秋までは上記のような水やりを行い、室内に取り込んだ後は「通年室内管理」と同じく、鉢内まで乾くように鉢土の表面が乾いて数日~1週間後に水を与えるか、鉢を持って軽くなったら水を与え、株全体に葉水を行います。

屋外管理(ベランダ)
基本的な管理は「屋外管理(戸建て)」と同じで、屋外に出してからは鉢土の表面が乾いたら鉢下から水がでるくらいにたっぷりと水を与えます。

ただし軒があり雨があたりにくいため、株全体を濡らすように水を与え、ハダニなどの乾燥で発生する害虫を防ぐと良いです。

秋以降の室内に取り込んだ後は、鉢内まで乾くように鉢土の表面が乾いて数日~1週間後に水を与えるか、鉢を持って軽くなったら水を与え、株全体に葉水を行います。

 オリヅルラン(折鶴蘭)肥料の与え方

元肥として、根を傷めないような緩効性の化成肥料を土に混ぜて植え替えます。

また追肥として、生育期に緩効性の化成肥料を2ヶ月に1回鉢の縁か株元から離した株回りに与えます。あるいは薄めた液体肥料を月に1~2回の頻度で与えます。

通年屋外管理する場合は、有機肥料で与えることもできますが、室内管理ではコバエが発生することがあるので、化成肥料で与えた方が良いです。

肥料を与える量は、肥料の種類により異なるためお持ちの肥料の説明を元に与えます。

 オリヅルラン(折鶴蘭)増やし方

オリヅルランは株分け・ランナー(子株)で増やすことができます。

株分け:時期は植え替えと同じく5月~9月(暖かい地域では4月から)に行います。大きく根を傷める場合は生育期初期の5月~6月あたりに株分けを行うと、植え替え後の痛みなどが軽減できます。

鉢から根鉢を抜き取り、土を落として根を解します。株の分かれ目をハサミなどで切り分けるか、手でそれぞれの株を分けます。

分けた後の株は植え替えと同じ手順でそれぞれ新しい鉢に植え替えします。

ランナー(子株)で増やす:オリヅルランは親株からランナーと呼ばれる茎を放射状に伸ばし、その際に子株ができます。

先端の子株が小さい場合は、親株の横に土を入れた小さな鉢を置き、ランナー先の子株を小鉢の土上に乗せるように置きます。そのままでは子株が安定しないので、ランナーをピンなどで固定します。数か月経って子株が小鉢内に根を張ったらランナーを切って分けます。

子株がランナー上で大きくなっていて根が出ている場合は、ランナーを長めに切って子株を新しい鉢に植え替えます。植え替えの際は、子株が株元深く土内に入ると腐ることがあるので、子株の根が土に挿さる程度に植えます。そのままでは安定しないため、長めに切ったランナーをピン止めし、根付くまで固定します。

。まず苔のようなものが生え、その後本葉のようなものが出てきたら一株ずつ鉢上げします。

 オリヅルラン(折鶴蘭)病害虫

害虫:「ハダニ」「アブラムシ」「カイガラムシ」などが発生することがあります。

「ハダニ」は乾燥している状況で、葉裏に発生し、葉裏から吸汁するため葉の色が悪くなります。またハダニはクモの仲間のため大発生すると蜘蛛の巣状の糸を張ります。室内管理や屋根下など株が濡れない場所で育てている場合に発生しやすく、水やりや葉水の際に葉裏から株全体を濡らすだけでも発生を抑えることができます。

「アブラムシ」は新芽や蕾の周囲などに発生します。また極度の日陰や風通しの悪い場所で軟弱な葉が増えると、アブラムシも大発生することがあります。健康的な株作りのためにも環境を整えた方が良いです。

「カイガラムシ」は葉や株元周辺などに発生しやすく、風通しや陽当たりが悪い場合に発生しやすくなります。大発生すると葉色が著しく悪くなり、すす病などを併発することがあります。

「ハダニ」「アブラムシ」「カイガラムシ」の退治には、市販のスプレータイプの薬剤で「花き」の登録と対象病害虫の記載があるものを使っていけば退治できます。

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