コチョウラン/ファレノプシス

 基本情報

科名:ラン科 Orchidaceae
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属名:コチョウラン(ファレノプシス)属 Phalaenopsis
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学名: Phalaenopsis 
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和名:コチョウラン(胡蝶蘭)本来のコチョウランはPhalaenopsis aphroditeに付けられた和名です
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原産:東南アジア、台湾など熱帯アジア
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開花時期:不定期(家庭では1月~4月開花が多い)
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高さ:10㎝~1m
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耐暑性:強い
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耐寒性:弱い
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コチョウランは豪華な花と長い開花期間、ネームバリューもあり花の贈り物としてトップクラスのです。開花調整が正確にできるという他の蘭の仲間にはない特徴あり年中入手できるという性質も贈り物として理想的だったのだと思います。

贈り物としての大輪系のコチョウランに目が行きますが、ミニ系・ミディ系とよばれる小輪系・中輪系の品種も幅広くあり、小ぶりな株姿のため家で身近に楽しめる種類があるのも魅力です。

コチョウランは漢字では「胡蝶蘭」で、蝶の優雅さなどを感じさせる名ですが、学名ではファレノプシス(Phalaenopsis)で「蛾(phalaia)」と 「似る(opsis)」を意味しています。

現在出回っているコチョウランにはファレノプシスだけでなくファレノプシスに近い仲間のドリティス属(Doritis )と交配されたドリテノプシス(Doritaenopsis)という種類も含まれています。

 育て方/年間管理
 管理/置き場所

コチョウランの仲間は熱帯地域の原産で樹木や岩などに根を張り付けて(着生)しています。本来は新鮮な水と空気に根がさらされている状態ですが、今日私たちがみるコチョウランの姿は、贈答用などの見た目の良い鉢に入れられた状態だと思います。

本来のコチョウランの状態と贈り物としての状態との差で上手く育たないということがありますので注意が必要です。贈り物の状態と開花後の状態とで分けて育てると、コチョウランは長く楽しめる花となります。

贈り物としての管理/置き場所

コチョウランは大前提として、本来樹木に着生しているため直射日光は苦手です。一方で通常の花と異なり開花中の栄養は葉に貯めていたものを使って咲きますので、真っ暗な場所でなければある程度元気で開花できます。贈答で貰ったコチョウランは直射日光の当たらない明るい窓辺か、窓から少し離した場所に置くと良いです。

贈答用の水やりは株の根元から指を入れて、十分乾いているときに水を与えてください。

萎んだ花が増えてきたら、花茎を株元から切って植え替えを行います。

開花後の育成中の管理/置き場所

開花後、後述の植え替えを行った鉢は4・5月から屋外の日陰か遮光できる場所に置きます。強い日差しは苦手なので南向きの陽当たりが良い場所では、真夏ならば70%遮光することがお勧めです。また樹種にもよりますが、木陰に置いて育てることもできます。10月あたりで気温が下がり始めたら室内の明るい場所に移して下さい。室内の場合でも窓辺近くの直射日光の当たらない場所が良いです。

 植え替え

植え替えの適期は暖かくなり始める4月~5月が目安です。贈り物のコチョウランは化粧鉢と呼ばれる見た目の良い鉢に数株が寄せ植えされています。管理で説明した通り、根が空気にさらされていることを好みますので、この寄せられている状態は根腐れしやすくなります。

そのため化粧鉢からコチョウランを一株ずつわけて植え替えます。分けられたコチョウランは通常透明のビニールポットに入っています。このビニールポットから外し、もっと乾きやすい素焼き鉢へと植え替えます。

素焼き鉢の大きさの目安としては、ミニ系ならば4~4.5号、大輪系なら4.5~5号あたりが目安です。

一度素焼き鉢に植え替えたものはその後2~3年はそのまま育てることができます。数年経ったら鉢の外に根が飛び出してきますので、再度新しい素焼き鉢へと植え替えを行ってください。

 用土の選び方

他の花のような土は全く使いません。水苔か洋蘭植え替えようのバークという気のチップを使います。

水苔の方が植え替え後の株が安定し、バークの方が安定感が悪いですが、バークの方が水苔より乾きやすく根腐れし難いという特徴があります。

 水やり/肥料の与え方

植え込み材料である水苔かバークの表面が乾いたら、鉢下から水がでるくらいたっぷりと与えてください。バークの場合は夏場は毎日水を与えた方が良いかもしれません。

肥料やりは生育が始まる5月から10月に室内に取り込む時期まで液体肥料を月に1回は与えてください。また5月~8月あたりまでは葉を育てるために油粕の固形の物などを与えるのも良いです。

 増やし方

株元や花茎から子株を出すことがあります、子株が発根してから植え替えを行います。植え替え時期は4月~5月あたりがお勧めです。

子株の植え替えも上記の用土・植え替えに準じますが、株が小さい場合は素焼き鉢を2.5号~3号あたりの小さなものにすることをお勧めします。

 病害虫

「軟腐病」「炭そ病」「カイガラムシ」「ナメクジ」が発生することがあります。

「炭そ病」は葉に黒褐色の斑点が発生します。初期は小さな茶褐色か黒褐色の斑点ですが、徐々に拡大していきます。葉焼けなど葉が弱った場合などでも発生しやすくなります。

「軟腐病」はカビなどの真菌性の病気ではなく細菌性の病気で感染力も強いので、発症株の隔離など早期の対策が必要です。水がしみたような茶褐色の斑紋ができ広がっていきます。特徴として独特な腐敗臭がありますので判別できます。病状が株元や茎のあたりまで広がっている場合は治療より破棄する方が良いです。

「カイガラムシ」は葉裏などを中心に広がり始め、被害がひどいと全体に広がります。風通しの悪い場所で育てている場合などは特に発生しやすいです。汁を吸うタイプの害虫で、排泄物が甘い液状のものなので、被害が酷いと葉上に砂糖水がかかったようにベタベタし始めます。その後放置すると、甘い液に黒いカビが生え「すす病」という病気を併発するので早めの対処がお勧めです。

「ナメクジ」は屋外管理のさいに食害される場合があります。かなり大き目の食害痕ができ、また這った跡などが残ることも多いので判別つきます。

「炭そ病」「カイガラムシ」は薬剤で「花き」の登録とそれぞれの病害虫が対象になっているものを使っていけば退治できます。

「軟腐病」についてはストレプトマイシンなどの抗生物質剤を使って治療します。

「ナメクジ」は貝類になるので、害虫用の駆除剤が使えません。ナメクジ用の誘殺剤を使って被害を抑えてください。

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