アルメリア/ハマカンザシ(浜簪)の育て方

アルメリア/ハマカンザシの基本情報

科名:イソマツ科 Plumbaginaceae
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属名:ハマカンザシ属(アルメリア属)
   Armeria
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学名:Armeria
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和名:ハマカンザシ(浜簪=Armeria maritima
   オオハマカンザシ(大浜簪=Armeria alliacea)など
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英名:Lady’s cushion
   Thrift
   Sea pink
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原産:地中海周辺地域
   イギリス~アイルランド
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開花時期:3月~5月
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高さ:5㎝~60㎝
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耐暑性:やや強い
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耐寒性:強い
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アルメリア/ハマカンザシの特徴

「アルメリア」は地中海沿岸地域を中心に自生するイソマツ科アルメリア属の常緑多年草で、春に細い茎を立ち上げピンク・赤・白色の玉状の花を咲かせます。

代表的な種はアルメリア・マリティマ(Armeria maritima)で、細い花茎と玉状の花が「簪(かんざし)」に似ているため和名で「ハマカンザシ(浜簪)」の名前が付いています。

maritima」は「海(海沿い)の」というような意味があり、アルメリア・マリティマが沿岸地域に自生していることに由来しており、海岸の崖や砂地から草地まで生えているため土質を選ばず通常の花壇からロックガーデンなどでも楽しめる花です。

多くの園芸品種が作られているアルメリア・マリティマ以外に、草丈が高く切花利用することがあるアルメリア・シュードアルメリア(A. pseudarmeria)や、高山性で花や草姿がコンパクトなアルメリア・ジュニペリフォリア(A. juniperifolia=ヒメカンザシ)などもアルメリアとして店頭に並びます。

アルメリア/ハマカンザシの管理と置き場所

アルメリアは陽当たりよく、風通りと排水性の良い土など過湿を避ける環境で育てます。

海沿いの地域で樹木などの遮るものがない場所に自生しているため、強い日差しや寒さに強く、痩せ地でも良く育ちます。

一方で日陰や多湿を嫌うため、良く陽が当たり排水の良い環境作りが大事です。

花は冬の寒さをトリガーにして春に開花しますが、園芸品種の中にはあまり寒さを必要とせず開花期間の長い品種もあります。

多くの品種は多年草として育てられますが、夏越しさせずに一年草として育てることもあります。またアルメリア・ジュニペリフォリアのような高山性の種類は暑さや蒸れで傷みやすいため高山植物や山野草のような管理をします。

アルメリア/ハマカンザシの年間管理表
アルメリア/ハマカンザシの植え替え

早春~春にかけて開花苗が出回ります。苗を購入後、一回り大きな鉢、または寄せ植えや花壇などに植え替えます。

鉢植えの場合は、成長にともない株に対して鉢が小さくなるようであれば、随時植え替えを行い鉢のサイズを大きくします。

多年草として育てている株の植え替えは春(3月~4月)か秋(10月~11月)に行います。鉢から根鉢を抜き取り土を1/3~半分落とし、同サイズか一回り大きな鉢へ植え替えます。

株が大きく育つと蒸れて傷みやすくなるため、鉢植えだけでなく庭植えの場合でも株が大きく育ったら株を分割して植えなおします。

アルメリア/ハマカンザシの用土の選び方

アルメリアは土の過湿が続くことを嫌うため排水の良い用土を選びます。

鉢植え

市販の花用の培養土でも大丈夫ですが、多年草として育てる場合は市販の花用の土に軽石小粒・鹿沼土小粒を1~2割ずつ混ぜた方が育てやすいです。

または観葉植物用の土のような排水の良い土で植えた方が良く育つこともあります。

高山性のアルメリア・ジュニペリフォリアなどの場合は、暑さや蒸れが苦手なため排水性の良い山野草用の用土で育てます。

庭植え

梅雨時期の長雨も考慮して土を排水良くしておくと良いです。完熟の牛糞堆肥や馬糞堆肥、肥料などを植えこむ周囲に混ぜてから植え付けます。

なお粘土質土壌の場合は堆肥類以外に軽石小粒や鹿沼土小粒を2割ずつ混ぜた方が夏越ししやすくなります。

アルメリア/ハマカンザシの水やり

アルメリアの水やりは一般的な花の水の与え方に準じます。

鉢植えの場合は基本的に鉢の表面が乾いたら鉢下から水が出てくるまでたっぷりと与えます。

庭植えの場合は、植えた直後にたっぷりと水を与えた後は、おおむね雨まかせでも大丈夫です。

アルメリア/ハマカンザシの肥料の与え方

アルメリアは植えるときの元肥と春・秋に追肥を与えます。

元肥は根が当たっても傷まないような緩効性の化成肥料を土に混ぜてから苗を植え付けます。

追肥は3月~4月・9月末~11月に緩効性の化成肥料を株元から離した株回りに与えるか、液体肥料を薄めて与えます。

3月~4月の肥料やりの場合は、株が弱る高温期までに肥料効果が切れた方が良いので液体肥料で与えた方が良いです。

アルメリア/ハマカンザシの手入れ
花摘み

咲き終わった花房を残すことで採種できますが、採種しない場合は花が咲き進んで花色が褪せてきたら切り取ります。

花房を切り取る場合は玉状の花房だけでなく花茎の根元から切り取ります。

また花房が8割程度開花した段階で花茎の元から切り取って切花として楽しむこともできます。

アルメリア/ハマカンザシの増やし方

アルメリアは株分け・挿し芽・種まきで増やします。

株分け

春(3月~4月)または秋(10月~11月)に行います。特に大きな株は夏に蒸れて傷みやすいので株分けした方が夏越ししやすいです。

分けた後の株それぞれに根がつくようにハサミなどを使って半分~数分割して株分けします。

挿し芽

春(3月~4月)または秋(10月~11月)に行います。挿し木専用土や鹿沼土小粒など清潔な土を準備して湿らせた後、親株から1株~数株くらいに分けて挿し穂を作り、挿し芽を土に挿します。

日陰で水を与えながら管理します。新芽が出始めたら発根したと考えられるので、根を傷めないよう土ごと苗を取り出し、植え替えします。

種まき

撒き時期は4月~5月・9月末~10月に行い、市販の種か採種した種を使って種まきします。

採種する場合、1株では種が付きにくいため複数株植えます。(ただし品種名が同じ株では種が付きにくいです)

またアルメリアの種は好光性種子という発芽に光を必要とする性質があります。

種を撒く場合は、種が小さいため市販の種まき用土かピートバンなど目の細かい用土を使います。まず用土にたっぷりと水を与えた後、種をばら撒きします。

アルメリアの種は好光性種子という発芽に光を必要とする性質があるので、種を撒いた後は覆土はしないか、種が隠れない程度のごく薄くします。

明るい日陰に置いて定期的に水を与えながら発芽するまで管理します。

アルメリア/ハマカンザシの病害虫
病気

「灰色かび病」が発生することがあります。

「灰色かび病」は終わった花柄や枯れた葉に発生します。主に梅雨時期など過湿期に発生しやすく、灰色~灰褐色のカビが伝播していくため、花柄や枯れ葉は早めに除去します。また夏場の夜の水やりは株の周囲を過湿にし灰色かび病の発生させやすくなります。早朝に水やりを行うことで発病リスクを抑えることができます。

「灰色かび病」が発生した場合では、市販のスプレータイプの薬剤で「花き」の登録と対象病害虫の記載があるものを使っていけば退治できます。

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