マユハケオモト(眉刷毛万年青)/ ハエマンサス・アルビフロスの育て方

マユハケオモト(眉刷毛万年青)/ハエマンサス・アルビフロスの基本情報

科名:ヒガンバナ科 Amaryllidaceae
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属名:マユハケオモト属(ハエマンサス属)
   Haemanthus
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学名:Haemanthus albiflos
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和名:マユハケオモト(眉刷毛万年青)
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英名:Paintbrush plant
   Shaving-brush plant
   Elephant’s tongue
   Elephant ear
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原産:南アフリカ(ケープ地方)
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開花時期:9月下旬~11月上旬
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高さ:15㎝~30㎝
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耐暑性:やや強い
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耐寒性:やや弱い
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マユハケオモト(眉刷毛万年青)/ハエマンサス・アルビフロスの特徴

マユハケオモト(眉刷毛万年青)はヒガンバナ科マユハケオモト属(ハエマンサス属)の球根植物で、「マユハケ(眉刷毛)」の名前の通り初秋~晩秋に白いブラシのような花を咲かせます。

オモト(万年青)の名が入っているものの日本や中国原産のキジカクシ科オモト属のオモトとは全く異なる種で、マユハケオモトはオモトのような根茎はなく地下に球根ができ、自生地も南アフリカのケープ地方です。

マユハケオモトの仲間(ハエマンサス属)には自生地の環境から高温期に生育する「夏型」と低温期に生育する「冬型」があり、流通するマユハケオモトは主に冬型で秋以降に新葉や新根をだして生育します。

マユハケオモトは白花ですが、鉢花として店頭に並ぶ近縁種に赤いブラシ状の花を咲かせる「アカバナマユハケオモト(赤花眉刷毛万年青=Haemanthus coccineus)」という冬型ハエマンサスもあります。

なお「ハエマンサス」という名前はハエマンサス属の植物全体を指す属名であり、マユハケオモトもハエマンサスの一種ですが、園芸上「ハエマンサス」と呼ぶ場合は主に赤い小花が集まってボール状に咲く夏型の「センコウハナビ(線香花火=Haemanthus multiflorus)」を指すことが多いです。

ケープバルブとしてのマユハケオモト(眉刷毛万年青)

南アフリカのケープ地方は風が強く高木が少ない地域で、ケープ地方原産の球根植物には環境に合わせて適応した特異な形態のものも多く「ケープバルブ」として人気を集めています。

マユハケオモトの学名は「ハエマンサス・アルビフロス(Haemanthus albiflos)」で、自生地は南アフリカのケープ地方南部~東部(クワズール・ナタールまで)にかけての沿岸部~山地に自生しています。

ケープ地方は冬に雨が多い地域と夏に雨が多い地域に分けることができ、ハエマンサスを含むケープバルブは自生地域の環境に合わせて冬に生育する「冬型」と夏に生育する「夏型」に分けられます。

ハエマンサス属もほとんどの種で夏型と冬型に分けられますが、ハエマンサス・アルビフロスは珍しく両方の地域に自生しています。

ただし日本でマユハケオモトとして流通する種類は冬型のハエマンサス・アルビフロスが多く、夏型のものはほぼ見かけることがありません。

マユハケオモト(眉刷毛万年青)/ハエマンサス・アルビフロスの管理と置き場所

マユハケオモト(眉刷毛万年青)は主に鉢栽培で管理し、真夏を除き陽当たり良く、風通りと排水性の良い環境を好み、夏だけは葉焼けや高温で球根が傷むことがあるため明るい日陰で管理します。

地域によって葉は周年出ている常緑性の球根として育つか、夏に枯れて休眠し、気温が下がる秋から活動を始め秋に白いブラシ状の花を咲かせます。

マユハケオモトはハエマンサスの仲間の中では比較的寒さに強い方ですが、凍結するほどの寒さは苦手なので、雪霜の当たらない軒下に置くか屋内の陽当たりの良い場所に移動させます。

マユハケオモト(眉刷毛万年青)/ハエマンサス・アルビフロスの年間管理表
 
マユハケオモト(眉刷毛万年青)/ハエマンサス・アルビフロスの植え替え

マユハケオモトの植え替えは生育時期少し前か生育初期に行った方が良く、8月末~9月中旬あたりに行います。

また過湿を嫌うため大き目の鉢への植え替えは行わず、球根より一回り大きい鉢に植え替えます。

頻繁な植え替えは必要ないですが、球根が増えて鉢が手狭になったり土替えのために2~3年に1回は植え替えを行います。

植え替える際は、根鉢を取り出して枯れた根とともに古い土を落として球根と健康な根だけの状態にして、新しい鉢に新しい土で植え替えます。

マユハケオモト(眉刷毛万年青)/ハエマンサス・アルビフロスの用土の選び方

夏場の休眠期に球根が腐らないように排水の良い用土で植え替えます。

もし市販の花用の培養土を使う場合は、赤玉土小粒と軽石小粒を2割ずつ混ぜて排水良く作り替えてから植え替えます。

また土をブレンドして作る場合は赤玉土小粒:腐葉土:軽石小粒=5:3:2の土に植え替えもできます。

マユハケオモト(眉刷毛万年青)/ハエマンサス・アルビフロスの水やり

秋から春の生育期は鉢の表面が乾いたら鉢下から水が出てくるまでたっぷりと与えます。

一方で夏の休眠期は過湿により根腐れすることがあるので、断水するか月数回まで水やり回数を減らします。

また夏の多雨と直射日光を避けるために、軒下や樹下などの明るい日陰で雨除けもできる場所に移動させます。

マユハケオモト(眉刷毛万年青)/ハエマンサス・アルビフロスの肥料の与え方

マユハケオモトは低肥料でも十分生育・開花しますが、肥料を与えることで球根が充実し花が大きくなります。

植え替え時に元肥として根を傷めないような緩効性の化成肥料を土に混ぜ込んで植え替えます。

追肥は秋から春にかけて1~2ヵ月に1回の頻度で緩効性の化成肥料を与えるか、月に数回の頻度で液体肥料を薄めて与えます。

マユハケオモト(眉刷毛万年青)/ハエマンサス・アルビフロスの手入れ
花穂切り

マユハケオモトの花は初秋から晩秋あたりに開花し、およそ初冬あたりに花が咲き終わります。

種採りなどの目的がある場合を除き、花が咲き終わって花色が悪くなったら花茎の元から切り取ります。

マユハケオモト(眉刷毛万年青)/ハエマンサス・アルビフロスの増やし方

マユハケオモトは球根を「分球」することで増やします。

分球

植え替えの時期と同じく8月末~9月中旬あたりに行います。

根鉢を取り出して土を落として親球根から子球根を取り分けますが、小さな球根では開花できないことがあるため、親球根と同じか半分以上に大きく育っている球根を取り分けます。

マユハケオモト(眉刷毛万年青)/ハエマンサス・アルビフロスの病害虫

害虫として「ハダニ」「ナメクジ」、病気として「葉枯病」が発生することがあります。

害虫

「ハダニ」
乾燥する時期に発生しやすく、夏場に軒下に置いた場合などに発生することがあります。

ハダニの仲間は水を嫌うので葉裏から水をかけて防除するか、消毒して退治します。

なお夏場に葉水をかける場合は、多湿状態が続くと葉枯病の原因にもなるため風通しの良い場所に置いた上で葉水を行います。

「ナメクジ」
葉や球根の土上に出ている部分などを食害し、特に高温期に食害を受けやすく球根腐る原因にもなるので、捕殺するか薬剤で退治します。

またナメクジが来にくいように、鉢の置き場所を地面から離した台の上に置くなどの対処を行うと良いです。

病気

「葉枯病」
梅雨時期から夏にかけて雨が多く、高温で葉が長期的に濡れた状態で発生しやすくなります。

軒下などの雨が当たらない場所に移動するか、風通しの良く葉が乾きやすい場所に置いて発生を抑えます。

退治・治療方法

「ハダニ」「葉枯病」の退治・治療は、市販の薬剤またはスプレー剤で「花き」の登録と対象病害虫の記載があるものを使っていけば退治できます。

また害虫の場合はアセフェートやクロアチニジンを含む粒剤を株の周囲に撒くことで予防や退治ができます。

「ナメクジ」は貝類のため害虫用の薬剤ではなく専用の誘殺剤かスプレー剤で退治します。

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